表題や副題の内容が書かれているのは、第 1 章のみ、広く取っても 2 章まで。全体としては、経済と法律・法曹界の関係中心に、現在の日本経済の問題点を述べる内容。
全体の流れとしては、目次で
- Google の脳みそ
- 嫌なら断れ
- 現代のガリレオ裁判
- 法曹界のヒラメ
- もたれ合いからの脱出
- 夢見る社長じゃいられない
- アリとキリギリス
- 10 の解毒剤
となり、その内容はおおよそ次の内容。
- 個々の法律が何のためにあるのか考え、ある法律を破ることが、社会全体の役に立つなら、それも有りではないか? と問う内容
- 前章の続きのような内容
また日本は、司法判断が出たとしても、それの司法判断に反した行動をとっても、罰則がない点についての問題提起。 - 国政選挙に於ける、地域による「一票の格差」問題
地方に対する優遇、引いては既得権益者への利益誘導 - 検察と経済界の関係
今の検察は、リスクをとって行動するアウトサイダーに厳しく、結果として新規事業の開拓を阻害しているのではないか? - 政治と経済との関係
日本の政治は、失敗して企業を上手く市場から退場させられていないのではないか? JAL、東電と原発処理、GM の破綻処理を例にとり。 - 民主党政権と企業法の関係について、今の民主党が勧める法制改革は、企業のを活性化する方向に繋がらない。例えば、監査は従業員の代表に役割の一端を担わせるのではなく、外部取締役のほうが良いのではないか?
- 各国の企業法や司法と経済の関係述べた後、どうすれば経済が活性化するか? と言う筆者の回答を述べる次の章へ橋渡し
- 具体的な経済活性化の方法
私の感想としては、2 章の司法判断に反した場合の罰則について、大賛成。本書では経済との関係が弱いので触れられていないが、賠償金の支払いを言い渡されても、それは訴えた側が自分で徴収しなければならず、相手が払う気がないとどうしようもない。公権力を使ってでも、強制徴収するようにしないと駄目だろう。この点は離婚時の慰謝料や子供との面会も同様。
他の章についても、概ね賛成。しかし中には、法的な問題だけでなく、日本社会のシステムや日本人の意識の問題も関わるので非常に難しい。だが、これを克服しないと、日本社会の活力はどんどん無くなっていくのだと感じた。