Kindle 書籍情報
書誌情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 最大 No.
- 110069
感想
稀代の、不世出の、天才、等数々の形容詞が付きそうな名チェス・プレイヤー、ボビー・フィッシャーの生涯を描いた本。
今でこそ、チェスはコンピュータ・ソフトに人が太刀打ち出来無い状態だが、ほんの 20 年ほど前の 1997 年に当時の世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフが敗れするまでは、特に欧米ではチェスは人の知性の象徴だった。
彼はそのチェスでチャンピオンの座を独占していたソ連勢からチャンピオンの座を奪取している。冷戦まっただ中の時代である。
そして、やはり彼は、間違いなく天才である。なぜなら好調時の彼の勝ち方は尋常ではない。チャンピオンへの挑戦者決定戦において、将棋のように勝敗がはっきり決まるらず引き分けの多いチェスで、6 戦全勝をやってのけるのだから。それも複数の相手に。
しかしそれはチェスなど一部の分野に留まる。にも関わらず、
しかし、フィッシャーが金銭的なオファーをすべて断った理由をもっともよく説明しているのは、フィッシャー自身のこの言葉かもしれない。「みんな私を食い物にしようとしているんだ。そんなやつらに五セントだってむしり取らせてたまるか!」 それが結果的に、フィッシャー自身が十セントも儲けようとしないことになったのである──少なくとも短期間は。
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といった性格と、他の分野でも「自分は特別扱いされて当然だ」と考えたことが、私生活、特に晩年の不幸に繋がったのだろう。