上映中に映画館で見たかったのですが、時間がとれず残念に思っていたのですが、『ツォツィ』(原題:TSOTSI) を DVD でやっと見ました。2006 年度アカデミー外国語映画賞受賞作品です。
あらすじは、犯罪を繰り返す南アフリカのスラム街に住む青年が、車に載っていた乳飲み子ごと盗んでしまい、その赤ん坊を捨てることもできず、同じくスラム街に住む女性を脅して乳を与えさせるなど、奇妙な形ながら赤ん坊と接していくことで変わっていく、という物語です。
- アパルトヘイトが終わり黒人には自由が与えられたが、却って貧富の差が広がり、それにより教育を満足に受けられず、そこから抜け出すことが出来ない貧しい人々。
- 乳を与える女性も裕福ではなく、さらに犯罪によって夫を亡くしながら自立して赤ん坊を育てている。映画内では語られないが、ひょっとすると主人公の犯罪者グループと夫の殺害は繋がりがあるのかもしれない。無いとしても、殺害した犯人も似たような境遇なのでしょう。
- 誘拐した赤ん坊は、成功した主人公と同じ黒人であり、同じ黒人でも裕福な人がいる。また警官である、ある意味かつての支配者である白人を怒鳴りつけている現在の変化
等、決して長い映画ではありません (95 分) が、南アフリカ (というよりここ数年成長著しい地下資源を持つアフリカ諸国) のいろいろな問題も含まれています。
ただ、文章にしてしまうと、なかなか何が良いのか伝えられません。特に私が書いたあらすじは全くダメですね(;_;)。アカデミー賞の作品賞は、「一度見たらもう良いや」という映画もよくあるのですが、外国語映画賞や脚本賞受賞作は心に残る映画という意味で、はずれも少ないので、この作品はお勧めです。