『Juno』は主人公の女の名前です。話のあらすじは、Juno が恋人未満との一度の SEX で妊娠して、中絶でも自分で育てるでもなく、生む前の状態で養子縁組を選択し...、というものです。
2007 年度アカデミー脚本賞を受賞しただけあって、良く出来た話です。因みに個人的には、原作賞が現存していないアカデミー賞の場合、作品賞や監督賞は興行的な成功も無いと受賞はしない事を考えると、脚本賞が最もはずれが少ない気がします。
この作品の良いところは、アメリカ作品というせいもあるのでしょうが、日本でこの手の作品に有りがちな暗さが前面には出てこない点です。勿論お腹の大きくなった高校生を回りがじろじろ見る事や、一種の蔑みがが有ることは、アメリカでも普通で、それは描かれているのですが、それで卑屈になることも反発することも無く、自分の選択として Juno が受け止めているのです。
また Juno が幼く描かれることも、かといって大人びて描かれていることも有りません。さらに妊娠することによって、急に大人として自覚が芽生えるような描き方もされていません。「私の大人度を超える状況」といった台詞などで、Juno 自身が「自分は大人になりきってもいないが、子供といえるほど幼くも無い」という事実を自覚している事が表現されているのです。
また登場がそれ程多くも少なくも無いのですが、父親のこういった状況への受け止め方や、娘である Juno に対する接し方が、Juno の行動を全て許している訳でも理解しているわけでもないが、とにかく受け止める、Juno の味方であり続けようとしている点が、その演技も含め印象に残りました。