劔岳 点の記を観ての第一印象は、「馬鹿な人たちである。しかしこういった馬鹿な人が歴史を作るのかもしれない」である。それ程、主人公を含めた、この集団がやっている事は無茶、無謀である。やっていることの一つ一つが、見ていて怖い。当時のあんな道具で...、という思いがどうしても出てくる。
作品としては非常に良く出来ている。何より細部にわたり一つ一つが丁寧で、監督やスタッフ自身が「かなり入れ込んでいるんだろうな～」というのを感じる。その結果、村人、測量士、軍人などそれぞれの人の服装、所作が異なり、「明治とはこういった時代だったんだろう」というその時代の空気感が伝わってくる。特に、山の案内人を演じる香川照之さんの立ち居振る舞い、歩く姿が秀逸。
観た後には、副題になっている「点の記」(測量で必要になる基準点を設置した時の記録) が最も内容を表している、と感じる。
あと山々等の自然の風景が素晴らしく美しいのはもちろんだが、この映画を観て、それだけを思い恐怖心が上回らない人は、登山には向かない。山へ行くのは止めるべきだと思う。