先日、Academy 賞の前哨戦と言われる米 Golden Glove 賞を受賞した『Avatar』を観てくる。
話の筋としては、これまでにもあった話の焼き増し。Dance with Wolves に自然賛歌を加えて、舞台を異世界に移したと思えばよい。Dance with Wolves に比べて、「異世界なのに殆どの場面でその世界の住人がなぜ英語を話しているのか?」等詰めが甘い部分が目に付く (アメリカでは特に、興行的にはこのほうが良いのだろうが)。その点、繰り返し観たいと思う Dance with Wolves との違いがある。
しかし、この作品は、こういった野暮なことを言ってはいけないのだろう。なんと言っても、目玉は、フル 3D。逆に言えば、3D で見られないなら、映画館に行く必要もないし、DVD, Blue-Ray で見る必要もないだろう。
かといって、3D を使うことで観客を驚かせるような演出が無く、できるだけ自然に見せる配慮がなされ、その点に大きな好感を持つ。またデザインが巧みで、いわゆる不気味の谷と呼ばれる気持ち悪さは感じません。しかし、その反面画面から飛び出す感覚を受けるのだが、スクリーンより奥へと広がる感じを受けない。そして、サイトに特殊メイクを使った? と思われる箇所もあり、それが非常に不自然です。そのあたり、これからさらなる技術発展が必要でしょう。
あと 3D といっても、劇場ごとに違いがあり、その再現性には違いがあると思うので、選択の余地があれば、できるだけ良い施設を選ぶと良いでしょう。
私の観た施設では、3D 眼鏡の影響で画が暗くなる点が気になりました。また、これは個人差があると思いますが、眼がピントが合うはず無い位置にも無意識にピントを合わせようとしてしまい、他の映画を観た時と比べて、圧倒的に目が疲れました。
そういった意味で、この映画は単体での評価と言うより、かつての Star Wars の旧三部作が映像と音響の質を大きく変えたように、技術的な意味で歴史的な作品なのだと思います。