深津絵里さんが Montréal 映画祭主演女優賞が話題となった『悪人』を観る。
正直、元々観に行くつもりは無かったが、受賞したのが契機という軽薄な理由。
ハッキリ言って、監督がインタヴューなどで述べているように、「誰が悪人か?」を問う映画ではない。あらすじは、満島ひかりさん演じる出会い系で知り合った女性を、突発的に殺してしまう妻夫木聡さん演じる男、その男を愛することになる深津絵里さん演じる女性の逃避行。そして、それに絡まる
- 殺人の発端を作ることになる、女性を置き去りにする自分本位で小心者の男 (岡田将生さん)
- 殺された女性の遺族 (父:柄本明さん、母:宮崎美子さん)
- 殺人を犯した男の親族 (祖母:樹木希林さん)
等の人々が絡まる。
先に書いたように、悪人を描くのではなく (少なくとも極悪人と呼べる人は居ない)、人の弱さ、誰でも悪人になり得るということを描いている。
殆どの人は、女性を置き去りにする男の友人 (永山絢斗さん) の様に「何かおかしい」と思いつつ言えない。その中で、女性を置き去りにする男を殴るのを踏み留まる遺族の父、悪徳商法にだまされるも立ち向かう殺人者の祖母の強さ、殺人者の親族と知りつつ游築けるバスの運転手、に救いを感じる。
個人的には、深津さんの演技より、江本さんと樹木さんの演技、特に感情を内に秘めた表情が印象に残った。