最初にお断りしておくと、情報として解っていると、映画の第一印象が変わってしまうと思う部分は、隠している。見たい場合は、不自然な空白部分を範囲選択すると見られます。
舞台は、東日本大震災後の東北。季節はおそらく五月頃。
粗筋として育児放棄されている中学生の男女の
- 悪人と善人ではなく悪意と善意
- 絶望と希望
及び、その境界線上で揺れる人々の心の物語。
主題も異なるのに『誰も知らない』と印象が重なる。(私は『誰も知らない』の主題は「人々の無関心の怖さ」だと思う) ただしバッド・エンドではないので、『誰も知らない』の様なやるせなさが軽減されているのは救い。
廃墟シーンでの音の使い方や心情を描写する映像の使い方が好き。
また登場人物は、どれも完全な悪人ではなく、いわば心の弱い人ばかり。その人々が状況次第で、上記境界線のどちらにも傾き得る事を良く表している。これはヴェネチア国際映画祭で、新人賞を得た主人公である中学生の二人はもちろん、それを脇を支える俳優たちの演技がよいから。