沢尻エリカさんの本格女優復帰策という事で話題の『ヘルタースケルター』を観てきた。
主人公のリリコは
- ファッション・リーダ
- 若者のカリスマ
- 実は全身整形をしている
- いずれ他の人物に取って代わられる事は自覚してはいるが、やはりそれを恐れている
という題材は良いと思うけど、何だか中途半端。
脇を固める女優陣の演技は素晴らしい。特に寺島しのぶさん、桃井かおりさん、原田美枝子さん。
しかし肝心の主演が力不足。彼女は
- 役に入り込んで演じる
- 計算して演じる
のどちらのタイプか今一つ解らないが、どちらだとしても中途半端。前者なら鬼気迫る迫真さが足りないし、後者だと細かい繊細さに欠ける。演技自体は上手いんだけど、そこ止まり。やはり中途半端。
人の怖さは原田さん、諦観・達観さでは桃井さん、弱さでは寺島さんの演技に負けている。
人の色々な面を表現するのは難しいとは思うけれど、もう一つ突き抜けた演技が欲しかった。
彼女は、名前を印象づけた TV ドラマ『1 リットルの涙』でも、死の場面は演じていないなど主演としては何か欠けている気がする。
『シュガー&スパイス 〜風味絶佳〜』『手紙』の準主役という脇役だけど重要人物という役所の演技は好きなんだけど。
音楽もクラシックを主体にするなら、全編クラシックで統一し、それ程メジャーでない曲も使うべきだろうし。やはり中途半端。
薬の影響で幻覚が見えているシーンにおいても、そこまで他者からの視点を入れなくても解るよ。蝶々が見えているけど、鏡に映っていない事で、自分が幻覚を見ている事を自覚するシーンで十分。この観客に対しての親切さもやはr中途半端。
良かったのは、主人公のアップにおいて、全身整形であることが
- 世に知られる前段階では、不自然な表情
- 世に知られた後の段階では、自然な表情
としている点。