本国フランスではアメリの興行記録を抜いたと聞き『最強のふたり』を観てきた。
面白かった。
傑作といって良いだろう。
話の筋は、事故で首から下が麻痺したお金持ちフィリップとそれを介護する (おそらく) 移民の子で貧民街に住む無職の黒人青年ドリスの話。
日本なら障碍者が主人公となると、日常生活でのその大変さを前面に出し、それに打ち勝つ事で観客の感動・涙を誘い、全体のトーンは暗くながち。
しかし、そういった暗さが全くない。まず、障害を持っていても、お金持ちなので、日常生活に困っている訳ではなく。医師や療法士を何の問題もなく雇う事ができ、事故前と変わらず自宅で生活を続けている。何より、二人の主人公のやり取りが面白い。
例えば、ドリスが食べているお菓子を見て「私にもくれ」というフィリップに対して、ドリスは平気で「これは健常者専用だ」と冗談を言う。またフィリップの体が不自由な事を利用し、警察まで手玉にとって、スピード違反を逃れたり。
題名は原題の『Intouchables』か英訳の『Untouchable』のままでも良かった気がするが、こうしてしまうと、日本では全体のトーンを暗くしてしまいかねないで、判断は難しい。
フィリップが友人にドリスを雇う理由を聞かれた時の、「あいつは私を哀れまない」のセリフが印象深い。