映画『LIFE!』を観てきたが、複数の意味を持たせた巧みなタイトル。
- 主人公は、LIFE 誌のネガの補完・管理を担当している
- LIFE にはもちろん人生の意味も含まれる
- 人生には驚き ! が付き物であり、この映画にもある
この映画のキャッチ・コピーは、
- 毎日に同じ生活を繰り返していますか?
- 仕事で大きな失敗をしたことがありますか?
- 空想することはありますか?
- 大切な誰かのために、夢を諦めたことがありますか?
- 変わりたいと思っていますか?
3 つ以上 Yes と答えた方、これは “あなた” のための映画です。
あらすじは夢を諦めた中年男性の話。ただこの主人公、単純な退屈な男という訳ではない。
- 高校生の頃、世界中をバックパックする事を親からも了承され、出発する直前に父親を亡くす
- 家計を助けるために働き始める
- 現在は、LIFE 誌で働き、人からは退屈だと思われがちだが、その仕事に誇りも持っている
- 老後の準備を始めた母親の希望が叶えられるホームの準備もしている
- それに加えて未だに女優を夢見る妹の支援もしている
客観的に観れば、かなり立派な人物。
- そんな時に、LIFE 誌の休刊、事実上の廃刊が決まる
- 誌の看板カメラマンから、これ以外最後の表紙に相応しい写真はないというネガが送られる
- しかしその肝心のネガが見つからない。他の無意味そうなネガはあるにも関わらず
- 確実な連絡方法のないカメラマンを他の残されたネガから探し出し、直接会う為に、これまでの安定した日常から冒険が始まる
表面的には、物語にありがちな「勇気を持って日常から飛び出せ」「普通の人が体験できないような人生を送るのが素晴らしい」を訴えていると解釈しては、片手落ちだと私は感じた。
理由は、それを行っているカメラマンが、主人公に直接あったことがないにも関わらず、その仕事ぶりを高く評価し、主人公もその仕事内容にどちらも敬意を払っているからだ。そして映画のラストで明かされる失われた写真が何を写しているか? も。
この映画は、「普通の人が体験しないような人生」「名も無き社会を支える普通の市井の人生」のどちらかに上下があるのではなく、どちらも素晴らしい。自分が納得している限りにおいて、と言いたいのでは無かろうか。