「血液型によって性格・相性、等等が違う」という話を日本人は大好きです。というか、世界中で日本人だけ興味を示します。そもそも外国では、自分の血液型を知らないことは珍しいことではありません。この事は特に見ず知らずの人と会話をはじめるに当たり、「出身地は?」「好きなものは?」程度の話の取っ掛かりとしては中々有効です。ですから、その存在自体を否定するつもりも在りませんし、信じているからといって取り立てて目くじらを立てたり、馬鹿にしたりもしません。しかし「『多少は～』も含めると、70 % もの人が正確と関係があると思っている」と聞くと、流石に不思議に思います。
血液型による性格判断を信じ込んでる人は、「血液型と性格が無関係であるなんて証明されてないじゃない」という人がいますが、これは「宇宙人がいる・いない」の話と同じで、「関係がある」「存在する」と物事を肯定する側の主張をする人が証明すべきで、否定する側の主張をする人は証明する必要は在りません。この理由は肯定されることを証明するより、否定することの証明のほうが一般的にはるかに難しいためで、科学では常識です。
また性格ということは、結局脳内での反応の結果、その組み合わせ、蓄積で出来上がるのでしょうが、その脳内の反応に血液が直接介在するわけではありません。血液は、あくまで組織への酸素、二酸化炭素、栄養素、老廃物など、物の運搬をしているだけです。
更に血液型はよく言われる赤血球の ABO や Rh 式以外にも、白血球など他の組織各々にも型が存在しますが、なぜか問題とされるのは ABO 式だけです。更に ABO 式であっても、良く知られる A, B, O, AB 以外にも型はあります。例えば簡易検査では、O 型に判定されますが、実際には、その O 型の血液を輸血されるの死んでしまうボンベイ・タイプという珍しい型もあります。血液型による性格判断が正しいとすると、これらの珍しい型の人はどれに分類するのでしょう?
これらのややこしい話はおくとしても、「B 型は大雑把」といった、血液型と性格を結びつける真面な統計データは存在しません。データはないのに話だけ一人歩きしています。そもそも「大雑把」など、性格をどのように判定するのでしょう? その人にアンケート調査でもする? 本人が自覚している性格と、周りから見たより客観的な印象が異なっていることはざらなんですが...。
血液型と性格を結びつける話は、酒の席や茶飲み話など話の潤滑財としては面白いですが、これで人を決め付ける愚考は差別ですらあります。