Christopher Nolan によるバットマンシリーズ三部作の〆『ダークナイト ライジング』
三部作の最後に相応しい作品。
作品の出来としては、前作『ダークナイト』には及ばないが、その代わり見た後に重い荷物を背負わされるような重苦しさが亡くなり、結末もずっと救いがある、いや寧ろ明るいとさえいって良いだろう。その為、万人に勧め易い映画になっている。
また敵役も前回と異なり、悪・暗黒そのものではなく人間性が垣間見られ、彼らなりの目的・正義を持っている。
ただ相変わらず、
- 一つ一つのセリフがよく練られている
- 勧善懲悪ではなく善悪の基準が不分明
の単なる娯楽作になってもいない。市井の人々各々が英雄であるというメッセージも好感を持てる。
欠点としては、元々企画段階から三部作のため、前二作を見ていないと、人物の人間関係が解らず、人物の心情が十分解らない点。
さらに気になったのは、核爆弾の扱い。普通あんなキノコ雲が見える距離なら被害甚大だぞ、と思う。まあ、元々核融合炉を改造したものなので、いわゆるきれいな水爆で放射線も少なく、海中深くで爆発したのなら…と言う説明はつけられるのだろうけど。