部隊は、南北戦争直前のアメリカ南部。他のヨーロッパ諸国では、とうに奴隷制が廃止されているにもかかわらず、「自由の国」アメリカでは未だ制度として残っていた時代。
今までのタランティーノ作品とは、若干雰囲気が異なる。画面からくるタッチに、独特のらしさ、何となく漂う B 級映画っぽさが無い。挿入歌の選曲は、相変わらず、独特のらしさがあるのだけど。
話の粗筋としては、賞金稼ぎの手伝いをした事をきっかけに、自らも賞金稼ぎになったジェイミー・フォックス演じる黒人主人公が、自由人となる前に引き裂かれた妻をレオナルド・ディカプリオ演じる悪の権化の様な白人農場主から奪還する、と言う解りやすい構図。
題材として、奴隷時代を扱っているので、
- 制度に胡座をかいた傲慢さ
- 不平等・不公正・不公平に対する鈍感さ
- 人の残虐さ
に、観ていて腹が立つ部分もあるが、不思議と重苦しくなることなく観られる。(監督の明るさが関係?)
クライマックス付近からは、冒頭と異なり、監督らしさが増し、バイオレンス全快になるので、注意が必要。
また、アメリカ映画では、
- 悪者担当に成りやすいドイツ人を良き人の代表 (クリストフ・ヴァルツ:前作イングロリアス・バスターズでは、逆側のナチス親衛隊を演じる)
- 黒人奴隷でありながら、執事として屋敷を取りしきり白人の側の人 (サミュエル・L・ジャクソン)
として登場させている点が、深みを持たせている気がする。
面白い作品ではあるが、やはり万人向けとは言えない。また前半のテイストを考えると、全てのタランティーノ・ファンにも勧められるかは疑問が残り、お勧めしやすさに難がある。
やっぱ、好きなんだけど。